「オルタネート」と「モーメンタリ」
主に押ボタンスイッチで使われる用語に、「オルタネート」と「モーメンタリ」という用語があります。
「オルタネート」
直訳すると「交替する」という意味があります。
スイッチのボタンを押す度に「ON」状態と「OFF」状態が入れ替わるタイプです。
オルタネート式に加えて出てきたものに、「ロック式」があります。
「ロック式」は、「ON」の時は、ボタンが押し込まれた状態でロックされ、もう一度押すとロックが解除され元の高さに戻るものが基本形です。
これは「オルタネート」の「ロック式」になります。
「モーメンタリ」
押している間だけ「ON」または「OFF」になるもので、押ボタンスイッチで一番多いものです。
「モーメンタリ」は「瞬間の」という意味で、その意味の通り「押している瞬間だけ」「ON」または「OFF」になります。
押ボタンスイッチやトグルスイッチに(ON)や<ON>とカッコで括られたONの表記が書いてあれば、それはモーメンタリを示します。
「N/O」と「N/C」
モーメンタリの押ボタンスイッチには、2種類あります。
「ノーマリー・オープン(N/O)」
操作部=ボタンに力を加えていない時にオープン(=開、OFF)な状態のスイッチをいいます。 日本語では「常時開」です。
「ノーマリー・クローズ(N/C)」
操作部=ボタンに力を加えていない時にクローズ(=閉、ON)な状態のスイッチをいいます。日本語では「常時閉」です。
スイッチによっては、共通端子、N/O端子、N/C端子の3つの端子があるものもあり、1つのスイッチで機能が選べるようになっている場合もあります。
この場合、共通端子とN/Oの端子を使えば通常はOFFになり、共通端子とN/Cの端子を使えば通常はONになります。
オープン=OFF、クローズ=ONだと非常に分かりにくいですが、図で見るとイメージしやすくなります。
「スイッチが開いている=オープン」の時は電流が流れないのでOFF。
「スイッチが閉じている=クローズ」の時は電流が流れるのでON。
「ショーティング」と「ノンショーティング」
主にDIPロータリとDIPスライドの場合に使われる、「ショーティング」と「ノンショーティング」という用語があります。
「ショーティング」
2つの固定接点の間を可動接点(移動する接点)が動くとき、2つの固定接点を同時につなぐ(ショートさせる)ように動くものです。
テスターの切り換え回路などの場合に、スイッチのどちらの接点にもつながらない状態になると、高電圧が測定回路にかかってしまうといった場合に使われます。
他に「メーク・ビフォア・ブレーク」ともいいます。接点が「離れる前にくっつく」という意味です。
つまり、スイッチを切り替える際に接点が必ずどこかの固定接点とくっついている状態になります。
「ノンショーティング」
可動接点が動く時に一度どちらの接点にもつながらない状態(ノンショーティング)になるものです。
「ブレイク・ビフォア・メーク」です。接点が、「くっつく前に離れる」という意味です。
つまり、スイッチを切り替える際に接点がどこの固定接点とも触れていない状態になるということです。
ロータリやスライドは基本的にどちらかに分類されます。
スイッチの形状や構造によっては狙ってどちらかにするということが技術的に難しいものもあります。
「ポジション」
トグルスイッチで、スイッチのレバーの動く位置が2箇所のものと3箇所のものがあり、それぞれ「2ポジション」「3ポジション」のスイッチと言います。
「投」と「ポジション」は似ていますが違います。
同じ単極双投のスイッチでも、「ON-ON」の2ポジションのものと、「ON-OFF-ON」の3ポジションのものがあります。
スイッチの機能動作の種類
トグルスイッチのMシリーズには、単投式、双投式といった機能動作で分類すると、 1、2、3、5、8、9形、さらに特殊回路として0、08、09と全部で9種類あります。
1形は「ON-OFF」(単投式)、2形は「ON-ON」(双投式)、3形は「ON-OFF-ON」(双投式、3 ポジション)、5形は「ON-<ON>」(<>はモーメンタリ)等です。
詳しくはカタログをご覧ください。