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コラム

【特集】小形非常停止用押ボタンスイッチ FF01シリーズの強み

2022年1月 6日

非常停止用押ボタンスイッチに対するニーズの変化とNKK参入の背景

産業用ロボット、工作機械、製造装置などの産業機器は、非常時に即座に動作を停止するための非常停止ボタンを備えている。通常、非常停止ボタンは機器の操作部に設置され、従来操作部は機器本体に設けられていることが多かった。しかしながら近年の傾向として、操作性や自由度向上の目的で、操作パネルをアームによって外部に出した機器や、産業用ロボットでは、ティーチングペンダントと呼ばれるリモート制御装置による操作が主流であるなど、操作部が別体になっている機器が増えている。したがって、非常停止ボタンも本体ではなく、別体の外部操作装置に設置されている。

別体の操作パネルやティーチングペンダントなどの端末機は、設置の関係や操作する人が扱いやすいように、必然的に小型軽量、そして薄型であることが求められている。それに対して既存の非常停止用押ボタンスイッチは、比較的スペースに余裕がある機器本体に設置されていた経緯もあり、パネル下胴の長さやボタンサイズが小型で薄型の端末機の要求を十分に満足するサイズに至っていないものが多数を占める。他の部品が薄型化に対応するなか、端末機の厚さは非常停止用ボタンスイッチのパネル下サイズの影響が大きい。

この様に、非常停止用押ボタンスイッチの小形化、パネル下短胴化のニーズは高いのだが、実際のところ既存供給メーカーの対応が十分に進んでいない。これは、非常停止用押ボタンスイッチは構造が複雑であり、その用途から高い信頼性を確保する必要があるなどの技術的課題が理由と考えられる。

これに対してNKKは顧客からの強い期待と要望があることを踏まえて、非常停止用押ボタンスイッチの市場調査と技術的課題の検討に入り、数年の開発期間をもって高品質を維持しながらも、業界最小クラスのパネル下短胴を実現した小形非常停止用押ボタンスイッチの発売に至った。

業界最小クラスのパネル下13.6mmを実現した小形非常停止用押ボタンスイッチ

FF01シリーズは、PLC制御やティーチングペンダントなどの小型操作パネル用に特化した、業界最小クラスのパネル下13.6mmを実現した小形非常停止用押ボタンスイッチである。前述のように、これらの機器の小型薄型化を妨げる要因になっていた非常停止用押ボタンスイッチの小形化を推し進めたことで、機器の薄型化はもちろん省スペース化や設計の自由度向上にも貢献可能である。以下にFF01シリーズの特徴をまとめた。

パネル下 13.6mm
独自に開発したスライディングラッチ構造により、業界最小クラスのパネル下13.6mmを実現した。既存の短胴タイプ非常停止用押ボタンスイッチのパネル下寸法が20mm前後であることから、大幅な短胴化に成功している。また、13.6mmは図が示すように端子を含んだ寸法で、胴自体は10mmにまで短くなっている。

φ25mmの小形操作部
FF01シリーズには、操作部径が25mmと30mmの2つのラインアップが用意されている(上図参照)。標準的な小形操作部サイズのφ30mmよりさらに小形のφ25mm品を開発したことによって、高密度なパネルレイアウトにも対応可能になるとともにデザイン性の向上にも寄与する。

小形化と安全性を両立する独自のスライディングラッチ構造
非常停止用押ボタンスイッチとしての安全性と信頼性を確保しつつ、如何にして短胴化するかという技術的課題を解決したのが、NKK独自のスライディングラッチ構造である。スイッチ中央部に接点の状態を維持するラッチ構造を配置し、この構造により接点ON状態では接点が接続する方向のみに作用し、OFF状態では接点が乖離方向へ作用し続ける。そのため、振動・衝撃が加えられた場合でも接点方向に移行しにくく、OFF状態を維持し続けることができる安全性を追求した構造となっており、特許出願中である。このスライディングラッチ構造により、パネル下13.6mmを実現した。

プルとターンの2種類の復帰方式
FF01シリーズは、スイッチを押してラッチ状態になった後の復帰方式として、プル(引っ張り)方式とターン(回転)方式のどちらの操作にも対応している。

小形化と安全性の両立を実現
非常停止スイッチは、国際安全規格に基づく様々な要求事項を満たす必要がある。FF01シリーズはその開発工程において様々な試験と改良を繰り返し、小形短胴という形状を実現しながら非常停止スイッチに求められる、例えば、衝撃試験:JIS C 8201-5-5(IEC60947-5-5)7.7.3 ラッチング試験などの厳しい要求事項をクリアしている。

パネルシール機構
FF01シリーズのパネルシール機構は、IEC60529のIP65に適合している。IP65は、防塵:じんあい(塵埃)の侵入がない、防水:あらゆる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない、レベルとなる。

国際規格に準拠
FF01シリーズは、UL/cULの工業用制御機器に関する規格であるUL508認証を取得している。また、非常停止用押ボタンスイッチでは標準的な規格となる、制御回路機器とスイッチに関する規格 EN60947-5-1およびEN60947-5-5にも準拠している。

FF01シリーズの基本仕様とラインアップおよびオプション

FF01シリーズは、操作部がφ25mmとφ30mmの2種類、各々に単極単投と2極単投、そして操作部矢印表示の有無の組み合わせからなる、計8品種で構成されている。また、スイッチガードや銘板などの付属品も用意されている。

小形非常停止用押ボタンスイッチ FF01シリーズ 仕様概要
回路 単極単投、2極単投 / b接点(N/C)
サイズ スイッチ本体:φ16mm、パネル上:20.6mm、パネル下:10mm(端子込:13.6mm)
電流容量 抵抗負荷24V 0.5A
電気的開閉耐久性 10万回以上(抵抗負荷)
端子形状 はんだ端子
取付パネル有効板厚(付属品取付時) 0.8~4.5mm(0.5~3mm)
保護等級 パネル上部IP65
使用温度範囲 -25℃~+60℃
耐衝撃 耐久:1,000m/s2、誤動作:150m/s2
耐振動 耐久:10~500Hz 片振幅0.35mm、加速度50m/s2
誤動作:10~500Hz 片振幅0.35mm、加速度50m/s2

φ25mmタイプ φ30mmタイプ
型名 機能動作 操作部表示 型名 機能動作 操作部表示
FF01-16BARAYG3 単極単投 矢印表示有 FF01-16BBRAYG3 単極単投 矢印表示有
FF01-16BAREYG3 矢印表示無 FF01-16BBREYG3 矢印表示無
FF01-26BARAYG3 2極単投 矢印表示有 FF01-26BBRAYG3 2極単投 矢印表示有
FF01-26BAREYG3 矢印表示無 FF01-26BBREYG3 矢印表示無

付属品
丸ナット締付け治具 スイッチガード 銘板・表示
AT-119 AT-220 AT-221 AT-222 AT-223 AT-224
なし EMERGENCY STOP 非常停止 緊急停止
 

左:丸ナット締付け治具、中央:スイッチガード AT-220と装着例、右:銘板AT-222と装着例
FF01シリーズの付属品と装着例

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日本開閉器工業株式会社として発足し、創業60周年にあたる2014年に「NKKスイッチズ」と社名を変更いたしました。

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